2010-12-29

ワーキングプア題材にプレ公演 新宿のアマチュア劇団

ワーキングプア題材にプレ公演 新宿のアマチュア劇団

2010年12月20日

「フリーダム」を歌って自由を取り戻そうと呼びかける出演者=北区で

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 ワーキングプアをテーマにしたミュージカル「フリーダム ワタシは人間だ」のプレ公演が十八日夜、北区立十条台ふれあい館で開かれた。沖縄映画の上映支援を機に発足したアマチュア劇団「『月桃(げっとう)の花』歌舞団」(新宿区)が、沖縄を舞台に戦争ともかかわる貧困問題を取り上げた。

 出稼ぎ先の本州や帰郷した沖縄で派遣切りにあう姉、仕事がなくて自衛隊に入った弟らが、第二次世界大戦時の集団自決で生き残った祖母の話から、生きる大切さを見つめ直す物語。最後にオリジナル曲「フリーダム」をギターの生演奏で全員が力強く歌った。

 役者は首都圏の会社員や公務員ら。姉は元派遣社員の世田谷区、会社員小枝冬実さん(32)が「派遣切りにあった直後は次の仕事探しで悲しんでいる暇さえなかった」という経験をもとに演じた。

 姉は「心の中で何人も殺した」と口走り、弟は戦争で死ぬかもしれない恐怖を感じるなど、台本は、団員でもある元派遣社員や元自衛隊員から聴き取った話を基に考えた。

 曲を作った世田谷区の医師室生祥(やすし)さん(52)らは「どうしたら人間として生きるきっかけをつかめるか苦しんでいる若者に伝えたい。今の空気を打ち破りたい」と話した。

 本公演は来年二月二十七日午後五時からムーブ町屋(荒川区荒川)で。六月に川崎市と日野市、秋に神奈川県藤沢市と世田谷区でも上演予定。問い合わせは劇団=電03(3267)0156=へ。 (松村裕子)