2010-12-12

大学を卒業しても非正規でしか働けない若者らに「希望を持て」と呼び掛ける新作ミュージカル「フリーダム ワタシは人間だ」を、アマチュア劇団が上演する。沖縄を舞台に、ワーキングプアの若者を主人公にした作品。荒川区での本公演は来年二月二十七日だが、十二月十八日に北区中十条の「十条台ふれあい館」でデモンストレーションを兼ねたプレ公演を行う。 (松村裕子)

 劇団は、新宿区に事務所がある「『月桃(げっとう)の花』歌舞団」で、メンバーは、首都圏の二十~七十代の会社員や公務員ら約二十人。一九九七年、沖縄戦を描いた映画「GAMA-月桃の花」の上映を応援しようと、エイサーや合唱で盛り上げた仲間で結成した。独自に命や平和をテーマにしたミュージカルを上演するようになり、ここ数年は失業率の高い沖縄から派生して、ワーキングプアを主題にしている。

 「フリーダム」は、本州に出稼ぎに行ったが派遣切りに遭い、古里の沖縄に戻って派遣社員として働く姉、自衛隊員の弟、米国人を父親に持ち、米軍兵士としてイラクに派遣されて心的外傷後ストレス障害(PTSD)になった姉弟のいとこが登場。工場でも戦場でも機械のように働かされ苦悩する若者が、人間として生きる希望を見いだすまでを描く。

 工場で流れ作業で働く派遣社員、訓練に従事する自衛隊員を、オリジナルの歌と踊りで表現。最後は「フリーダム」と題した歌の大合唱で、自由を取り戻そうと呼び掛ける。

 脚本は、元自衛隊員の男性団員らの経験をもとに作成。貧しさゆえに自衛隊や軍隊に入り、貧しい者同士が戦場で銃を向け合う、貧困と戦争の関係も浮き彫りにし、「貧困と戦争のない社会を」と訴える。

 舞台監督の長谷川清治さん(55)=練馬区=は「若者たちに『あきらめちゃいけない』と気づいてほしい。非正規で働いている人やニートの人に見てほしい」と話している。

 本公演は午後五時からムーブ町屋(荒川区荒川)で。前売りチケットは三千円、学生二千円だが、高校生以下とフリーター、失業者は千円。プレ公演は午後六時から。入場料は五百円。問い合わせは同劇団=電03(3267)0156=へ